2002年に九州で初開催されて以来、9回目となる全日本ロードレース選手権オートポリスラウンド。最高峰となるJSB1000クラスの公式予選は今回もノックアウト方式で行われた。
Q1セッションが始まる頃から、空からは雨が落ちてくるものの、路面を濡らすほどではなくスリックタイヤでタイムアタックに入る。セッション開始直後にウエット宣言されたこともあり、タイヤの使用制限が解除され、各セッションでニュータイヤの投入が可能となった。いつ雨が強くなるか分からない状態だけに、上位陣は、Q1では24番手以内に、Q2セッションでは12番手以内に残るタイムを出しておきたい状況だった。とはいえ雨の降る中でのタイムアタックはリスクが高かった。この難しいコンディションを制したのは“ライムグリーンモンスター”柳川明だった。柳川は、Q1でただ一人1分50秒台を出しトップにつけると、Q2を2番手でクリア、迎えたQ3セッションでは小雨の降る中、自己ベストとなる1分50秒193 という驚異的なタイムをマークし、ポールポジションを獲得した。
「チームが努力してくれたおかげで、まずは予選で結果を出すことができたね。毎年オートポリスでは、勝てそうで勝てないレースをしてきているし、チームや九州の応援してくれている人たちの期待を感じている。それに応えたいからね。今年こそ勝てるように頑張るよ」と柳川。
2番手に3年連続チャンピオンを狙う中須賀克行は「何があるか分からない状況なので、予選もベストを尽くしました。難しいレースになりそうですが、マシンの状態もまとまっているので、やるしかないですね」とコメント。
一方、最終セッションで意外におとなしかったのが秋吉耕佑だ。実は、Q3でタイヤ交換をせず、Q2で履いたタイヤでアタックしており、その状態でも1分50秒633をマークして3番手、フロントロウにつけたのだった。「大事なのは予選よりも決勝ですからね。マシンは100%に近い状態に仕上がっているのでレースを引っ張れると思います」と自信をのぞかせる。
4番手には亀谷長純が自己ベストとなる1分50秒966をマークしてつけた。
「事前テストのときは、どうしようかと思ったぐらいマシンが決まらなかったけれど、レースウイークに入って、いろいろ条件がそろってきている。まだトップを狙うには厳しいけれど、何とかトップ争いに加わっていきたいね」と亀谷。
暫定ポイントリーダーの高橋巧は、難しいコンディションを攻めきれずに5番手、負傷をおして出場している伊藤真一は着実にタイムを縮めて6番手につけている。
トップ争いはカワサキのエース柳川、韋駄天・秋吉、そしてゼッケン1をつける中須賀の九州勢が中心となって展開されるだろう。ただ、決勝日の天候、コンディションによっても、その勝敗が左右される可能性がある。
混走で行われているJ-GP2クラスには、今回8台がエントリー。この中でST600クラスとダブルエントリーしている山口辰也が得意のコースでトップタイムをマークしている。小西良輝は2番手、生形秀之が3番手、宇井陽一が4番手、高橋江紀が5番手で続いた。
日曜日の天気予報は雨。完全なウエットコンディションで走ったライダーは、事前テストからは皆無だ。不確定な要素を残しつつ迎えるレースには、どんな運命が待っているのだろうか? 柳川が悲願のオートポリス初優勝を達成するか!? 秋吉のワンサイドレースとなるか!? それとも中須賀がV2チャンピオン意地を見せるか!? 国内最高峰のバトルを見逃すな!
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