1周を僅か約1分で回る筑波サーキットは全日本ロードレースで一番タイトなコース。ライダーに休む間を与えず常に集中力を要求するサーキットでもある。筑波ラウンドのJSB1000クラスは安全性を高めるためにグリッド数を昨年の11列33台から8列24台となった。ST600クラスが30台、GP250クラス、GP125クラス、GP-MONOクラスは36台となっているだけに、JSB1000クラスのレースが、いかに狭き門なのかが分かるだろう。まさに選ばれたライダーしかグリッドに着けないのだ。
金曜日のA.R.T.合同走行は快晴となり開幕戦でも公式予選まで抜きん出た速さを見せつけた秋吉耕佑が自身の持つコースレコード(56秒140)に迫る56秒199をマーク。これに安田毅史の代役で登場した“タディ”こと岡田忠之が2番手に付け、3番手に亀谷長純、4番手に横江竜司、5番手に酒井大作、6番手に山口辰也、7番手に中須賀克行、8番手に大崎誠之と56秒台で続いていた。
コースレコードの更新が期待されたが公式予選は天候が一転、空からは冷たい雨が降りレインコンディションでのタイムアタックとなった。
A組では秋吉がいきなり1分01秒台をマーク、2番手以下を大きく引き離しトップにつける。その走りを見ていた伊藤真一に“あいつだけ別次元だな”と言わせるほど、鋭いブレーキングを1コーナーで見せていた。続くB組では手島雄介がセッションをリード。徐々にタイムを削り、最後に秋吉を上回る1分01秒150をマークする。酒井大作、亀谷長純、山口辰也も1分01秒台で続き、B組の方がタイムが拮抗していた。午後になると雨と共に風が強くなり気温も下がる難しいコンディション。秋吉はダンロップコーナーで転倒を喫するもののダメージはなく再びA組トップに着ける。中須賀もレインのセットを詰め1分01秒台に突入した。高橋孝臣が大健闘の3番手につけ、徳留が4番手となった。
雨の予選は手島が全日本で初めてポールポジションを獲得する結果となった。ドライではやや苦戦していた手島だったが、ウエットでは見違えるほど安定した速さを見せた。“筑波はふるさとみたいなもの。決勝は勝つことだけを考えている”と自信をのぞかせていた。ワークスチーム入り2年目、そろそろ結果を出しておきたいところだ。
コンディションに左右されず豪快な走りを見せている秋吉、開幕戦のウイナー中須賀、さらに酒井、亀谷、山口なども表彰台の中央を虎視眈々とねらっている。筑波は得意という伊藤真一も決勝になれば、走る度にペースを上げてくるはず。天気がどうなろうと、激戦が繰り広げられることは間違いない。
一方、予選A組1回目に15番手に沈んでいた岡田は、よりウエットセッティングを進めて臨んだ2回目も接地感のなさに苦しみ低迷。決勝はシード権を行使し、最後尾からスタートすることになった。ドライコンディションならば、怒濤の追い上げが見られるはずだ。 |