雄大な阿蘇に位置するオートポリスは景色に負けず劣らずダイナミックなコースレイアウトを持っている。全長4,674mのコースはアップダウンがあり、ホームスレートは902mと長いだけにスリップストリームを使い合いながらの接近戦を見ることができる。勝負ポイントも多く、ライダーのテクニック駆け引きが見所となる。
金曜日は、ドライコンディションで行われ秋吉耕佑がまたもトップタイムをマーク。自ら持つコースレコード(1分50秒509)を上回る1分50秒173をたたき出した。しかし、秋吉自身は「午後のセッションで車体のセットアップがいい方向にいかなかったのでタイムアップできなかった。決勝がドライだったら(金曜の)午前中のセットに戻して臨むと思う」と、不満が残る状態。とはいえ、実際に記録しているタイムは他を圧倒するもの。アベレージスピード次第では、独走する可能性も高いと言える。金曜日は、大崎誠之、中須賀克行、柳川明、徳留和樹と九州勢が好タイムをマーク。地元でいいレースを見せようと燃えている。
土曜日の公式予選は一転しレインコンディションとなった。ウエットになっても秋吉は2番手を0.6秒以上も引き離す圧倒的な速さを見せる。その後、上位12人が進出するスーパーポールが行われるはずだったが、霧と雨の影響で中止となり、公式予選の結果がスターティンググリッドとなった。スーパーポールを見据え“12番手以内につけておけばいいだろう”という思惑のあったライダーにとっては悔しい結果に。悲喜こもごもの予選となった。
「レインのセットがうまくいったので雨が少し弱いときに集中して攻めていくことができた。レースはスタートを決めて、まずスパートして、周りを見て展開を考えようと思っている。今回は主導権を握りますよ」と秋吉は決勝に向けて自信をのぞかせた。
2番手の伊藤は、開幕戦ではファステストラップを記録しながらマシントラブルでリタイアに始まり、第2戦では不安定なコンディションでの予選に翻弄され、4列目スタートとなってしまう。しかし、そこからトップより速いペースで追い上げ6位となった。着実にニューマシンを仕上げてきており、今回はウエットの予選でも前戦の二の舞は踏まないよう、しっかり2番手に着け、今シーズン初めてフロントロウからスタートする。そして、3番手に前戦でポールポジションを獲得し3位に入った手島雄介がつけた。
4番手には昨年のオートポリスラウンドのウイナーであり、現在2連勝中の中須賀は「確実に去年よりレベルが上がっている。逃げるのは難しいと思うけれど、地元だし多くの人が期待してくれているのでおもしろいレースを見せたい」と開幕3連勝にしっかりターゲットを絞っている。
スーパーポールでのジャンプアップを狙っていた柳川は「今年のバイクを(ウエットで)うまく走らせることができなかった。12番手以内に入ればいいと大事にいったのも裏目に出てしまった。決勝はスタートを決めて一気に前に出ていきたい」とコメント。ドライではストレートで抜群の伸びを見せていた柳川+ZX-10Rがどこまで追い上げるか要チェックだ。
伊藤、手島、山口辰也、酒井大作なども勝利を狙っているだけに秋吉が、どこまでレースをコントロールできるか? 他の九州勢も意地を見せたいところ。トップでチェッカーを受けるライダーは果たして誰だ!?。 |