待ちに待った全日本ロードレース選手権開幕戦が茨城県・筑波サーキットで始まった。前週に3日間、行われた合同テストでは、2日間は雨、最終日のみ晴れたものの、ドライでの走り込みが絶対的に足りない状況であった。開幕戦は、特別スポーツ走行が木曜日に設けられ、通常よりも一日早く走り出したものの金曜日が雨となり、思うようにセッティングを詰められないでいるライダーがほとんどという状況だった。
土曜日に行われた公式予選でも、各ライダーは決勝を見据え、マシンをセットアップしながらのタイムアタックとなった。その中でも、着実にタイムを詰めていった亀谷長純が56秒093をマークし、ポールポジションを獲得した。亀谷は、合同テストではウエットのみの走行となっていたが、レースウイークに入り、最初の走行となった木曜日に56秒フラットをマーク、ウエットコンディションとなった金曜日もトップタイムを記録し、3日間、常にトップにつけている。S字コーナーからヘアピンへのアプローチは誰よりもスムーズで、その走りはライバルも舌を巻く。
「予選ではタイヤセレクトをしながらのアタックだった。ベストタイムを出したのは決勝で使おうと思っているタイヤなので、スタートから前に出てレースを引っ張れるようにしたいですね。ロングランはできていませんが、予選中に18周できているし、タイヤもよくなっているのでレース終盤でも勝負できると思います。ただ理想は逃げ切りですけれどね(笑)」と亀谷。
2番手には、今年ハルク・プロに移籍、その緒戦となる高橋巧が56秒191でつけた。
「最後にアタックしたのですが、リアが流れてしまいました。自分のミスですね。その周がベストだったので、それがなければ55秒台には入っていたはず。昨年も課題にしていましたが、スタートを決めて序盤で離されないようにしたいですね。スタートから前に行ければ一番いいんですけど」と高橋。
フロントロウ、イン側に着けたのは秋吉耕佑だった。秋吉もドライコンディションで走れていなく、マシンがなかなか決まっていない。予選中も何度もピットインしてはセッティングを詰めていたが、持ち前の韋駄天ぶりは発揮できずに終わっている。
今シーズン限りでJSB1000クラス卒業を表明している伊藤真一は、2列目4番手グリッドからスタートする。昨年、55秒142という驚速タイムをマークしていた伊藤だが、今回はセットを詰め切れていないと言う。だが、決勝に向け戦える手応えは感じており、JSB1000で最後の筑波に臨む。
ディフェンディングチャンピオンの中須賀克行は、3月8日の鈴鹿テストで転倒、痛めた右肩が全快ではなく、どうしてもライディングに影響が出てしまうという。それでも56秒台に入れ意地を見せた。
カワサキのエース柳川明はサスペションの仕様が変わり、ドライの走行時間がもっと欲しいとコメント。ただレースになれば“ガンガン行く!”と攻めの走りを見せてくれそうだ。
レースはダンロップを履く亀谷がスタートダッシュをかけ、それに誰が、どこまでついて行けるかでレース展開が決まってくる。中須賀も身体の状態は厳しいがトップ争いに絡んでくるはずだ。混戦から抜け出すのは果たして? 開幕戦のウイナーの座は??
新たに始まったJ-GP2クラスは、JSB1000クラスとの混走で行われ、ST600のキング・小西良輝を始め、GP250チャンピオンの宇井陽一、ST600からスイッチした生形秀之、バーニングブラッドに移籍した高橋江紀の4台がエントリー。今のところ、どのライダーもスリックタイヤに合わせたセッティングを模索している状態。その中で小西が58秒134をマークし、クラストップ、総合14番手グリッドにつけている。
|