全日本4クラス中、最も公道を走るバイクに近い条件で争われるST600クラスでは、使用可能なタイヤの本数が予選、決勝を通じて2セットに制限されているため、タイヤがいい状態のうちにタイムを出そうと、予選1回目の早い段階からタイムアタックが始まるのが他のクラスにない特徴だ。快晴に恵まれ、路面温度が40度近くまで上がった中で行われた1回目の予選では、抜きどころの少ない筑波で少しでも有利なグリッドを確保しようと、普段以上に熾烈なタイムアタック合戦が繰り広げられた。
ポールポジションを獲得したのは、予選開始から8分後にコースレコードをマークした95、96年の全日本GP250チャンピオン、沼田憲保だ。茨城県出身の沼田は筑波の攻略法をよく心得ており、なおかつ実戦投入2年目を迎えてセッティングが煮詰まり、初戦からヤマハYZF-R6勢が好調なこともトップタイムをマークした理由だろう。2番グリッドは、開幕前のテストから驚異的なタイムをマークしている筑波育ちの26歳、安田毅史。以下、全日本GP500のトップライダーとして活躍していた経験を持つベテラン、鶴田竜二、筑波育ちの21歳、手島雄介が続く。
予選2回目でタイムを更新したライダーは少数で、ほぼ1回目のタイムで予選総合順位が決定している。気になるのは決勝の空模様だが、ドライの条件下で行われる限り、沼田、鶴田、GP125で優勝経験もある加藤直樹ら経験豊富なベテラン勢に、筑波を地元とする安田、手島、さらに予選上位につけた20歳の三瓶陽介、23歳の今野由寛らが、地の利とヤングパワーを生かしてどのように対抗するかが、決勝レースにおける注目のポイントだ。。
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