このクラスだけは3月末の鈴鹿2&4から開幕し、この筑波大会で3戦目となる。昨年から国内最高峰クラスとして位置づけられたJSBクラスは、ベースバイクに1000ccの一般量産車を使っている。このため、各メーカーから発売されているベースバイクの基本性能や、同時にリリースされているキットパーツの仕上がり具合が、レースの結果に大きく影響してくる。昨年は、スズキのGSX-R1000が圧倒的な強さを誇っていた。しかし今年、スズキ以外の3メーカーがニューモデルを投入してきた。ホンダCBR1000RR、ヤマハYZF-R1、カワサキZX-10Rの3機種だ。中でもホンダはこのクラスに力を注ぎ、大量のエントリーを数えている。その結果として、山口辰也(ホンダドリームカストロールRT)が開幕2連勝中で、ディフェンディングチャンピオンの北川圭一(ケンツMOTULスズキ)を大きく引き離している。ランキング2位には、開幕戦で3位、第2戦のオートポリスで7位の井筒仁康(チーム桜井ホンダ)と、ニューマシン、ZX-10RとMotoGPマシン、ZX-RRの開発を担当している柳川明(TEAM
GREEN)が同ポイントで並んでいる。
また、バイクメーカー同様、今年はタイヤメーカーもこのクラスに勢力を注ぎ、3メーカーががっぷり四つに組んで、激しい戦いを繰り広げている。ホンダ勢の多くはブリヂストンを選択、2戦を終えたところで山口、ホンダ、ブリヂストンの組み合わせが先行している。しかし、ミシュランを履く井筒、ダンロップの北川、渡辺篤(ヨシムラスズキジョモスリクソン)、柳川、中冨伸一(YSP&PRESTOレーシング)なども、この筑波大会へ向けて着々と準備を進めている。
初夏を思わせる暑い日差しの下、今年初めての関東での全日本が開幕した。午前中の予選1回目、ミシュランタイヤを履く井筒が、渡辺が持っていたコースレコードを破りトップに躍り出る。2番手タイムは前回のオートポリスで見事な追い上げを見せ4位に入った伊藤真一(DDBOYS
Racing)。ここまで陰をひそめていた中冨が3番手につける。山口は渡辺に次ぐ5番手。
しかし、午後の予選2回目で、午前中の井筒のタイムをわずかに上回るコースレコードをマークしたのは渡辺だった。コースレコードは今年も引き続き渡辺が刻むことになり、開幕戦鈴鹿2&4以来、2回目のポールポジションを獲得した。渡辺と井筒は56秒台、3番手の大崎誠之(SP忠男レーシングチーム)が57秒フラットで、ここから13番手の出口修(DyDo
MIU RACING)までが57秒台をマーク、かなりのハイレベルな予選タイムアタックとなった。
不安定な天気図が、決勝の微妙なコンディションを示している。波乱のレースが予想される。
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