2ヶ月半のインターバルを挟んで行われる全日本第5戦の焦点は、残り3レースとなったタイトル争いの主導権を誰が握るかに絞られている。予選は2回とも絶好の状況下で行われたが、2回目は気温が上がり路面のグリップが低下したため、ほぼ1回目のタイムで予選順位が決定している。
ポールポジションを獲得したのは、目下ポイントリーダーの小山知良だ。先般行われたチェコGPにワイルドカード参戦した小山は、これがいい刺激となって予選1回目の早い段階からペースを上げ、残り7分となった時点で1分35秒378を叩き出している。小山は「残り3戦はぶっちぎりで勝つ。それが来年につながると思う」と2度目のタイトルに並々ならぬ意欲を見せている。
その小山とポイント上で対峙するベテランの仲城英幸は、対照的に予選時間をじっくり使ってマシンをセットアップする作戦に出た。予選では目立った速さを見せていないが、そこは4度の全日本タイトルを獲得したベテラン。決勝までにきっちりと勝負のできるマシンに仕上げてくるだろう。
小山に僅差で続く2番手のタイムをマークしたのは、初戦のオートポリスで幸先良い勝利をマークした葛原稔永だ。しかし前戦もてぎを転倒で落としており、決勝では文字通り背水の陣を敷いてくるはずだ。
フロントロー3番手には井手敏男が、4番手には小室旭が並ぶ。このうち小室は2回目のセッション終盤、4コーナーで仲城と絡むアクシデントにより転倒を喫しているが、幸い両者とも大きなケガなく難を逃れている。
決勝はドライの条件下で行われる限り、予選2回目も唯一1分35秒前半のタイムでコンスタントに周回していた小山が抜け出す可能性が高い。対するライバルはそれを阻止するため、スリップを奪おうとするだろう。小山が抜け出すか、それとも集団による勝負が最後まで続くか、それが予想される決勝の展開だ。
しかし決勝当日は天候が危ぶまれており、ウェットレースとなればマシンはギャンブルセッティングになる可能性が高く、レースは空同様に荒れ模様となるだろう。
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