注目は何と言っても辻村猛と安田毅史のタイトル争いの行方だろう。前回の鈴鹿ラウンドも辻村と安田の一騎打ちとなったが、最終ラップに安田が意地を見せて勝利を飾った。ともに2勝を挙げ、2位が1回というリザルトを残しているだけに、今回はどちらか前でフィニッシュした方がタイトル獲得というシンプルな状況となっている。ST600クラスのみ6戦中4戦の有効ポイント制となっているため、すでにチャンピオンの可能性を残しているのはこの二人のみ。文字通り一騎打ちの戦いとなる。
順調な仕上がりを見せている辻村に対し、安田は金曜日に転倒を喫するなど、やや苦戦気味。予選では、ともに1回目にベストタイムをマークし、辻村は1分34秒922で3番手、安田は1分35秒622で6番手となった。辻村は昨年のTIラウンドでは、ST600で優勝、JSB1000で2位に入っている。今年もダブルエントリーしているJSB1000クラスで苦戦が続いていたが、TIでは復調の兆しを見せている。相性のいいコースだけに、勝ってチャンピオンを決めたいところ。一方、安田も足回りのセッティングに課題を残しているものの、決勝朝のウォームアップで煮詰めることができれば持ち前の瞬発力でレースをリードするかもしれない。ここ4戦連続でホールショットを奪っているだけに、安田のスタートダッシュに注目だ。
このタイトル争いに絡んできそうなのが、TIサーキット英田をホームコースとしているカワサキの酒井大作だ。酒井はテストで転倒し、左足首を骨折している状況ながら、うまくクリアラップを取り1分34秒842をマーク。自身のコースレコードを更新する根性の走りを見せた。優勝が見える位置にいながら、なかなか勝てていないだけに、今回に賭ける意気込みはハンパじゃない。沼田憲保、宮崎敦、八木孝弘のヤマハ勢も好調なだけに、トップグループは6台以上の集団になる可能性が高いだろう。
泣いても笑っても今回が最終戦。チャンピオンとなるのは辻村か? 安田か? どんなクライマックスが待っているのだろうか。
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