半年間の沈黙を終え、鈴鹿サーキットに全日本ロードレース選手権が帰ってきた。第2戦は鈴鹿2&4レースとして、4輪の国内最高峰フォーミュラ・ニッポンと併催される。今回は最高峰のJSB1000クラスのみで、62台のエントリーを集めた予選はA、B組に分けられ、1セッション40分間が午前と午後でそれぞれ1回ずつの合計80分間で争われた。
JSB1000は予選、決勝を通じて使用できるタイヤの本数が前後3セットに制限されており、決勝用に新品の1セットをキープすると、最初の1セット目で午前中のセッションを走り始め、マシンのセッティングを進めながら午後のセッション終盤に2セット目を投入し、最後のタイムアタックに入るのが通常だ。
金曜日に行われた練習走行でトップだったのは、開幕戦のMINEで優勝した伊藤真一だ。MotoGP世界選手権の250ccクラスから全日本に復帰した松戸直樹、開幕戦のポールシッター中冨伸一、スズキの新型GSX-R1000を手にした渡辺篤が続いたが、ラップタイムはまだ十分に伸びる余地があった。
土曜日午前中の予選が始まり、ほぼ全車が一斉にコースインを開始した。しかしGPの500ccや全日本チャンピオンも経験している38歳の伊藤はピット内で悠然と構え、10分遅れてコースインすると、その直後にいきなり午前中のトップタイムとなる2分10秒346をマークしたのだ。
「朝の1本目は路面が汚れていますし、他のバイクが何台も走行してレコードラインをきれいにしてくれた後のほうがタイムが出やすいと判断しました」と伊藤はその理由を説明し、ベテランならではの予選の組み立てのうまさを示した。
各ライダーはセッティングを詰めながら予選を進め、予選2回目の半ばを過ぎた頃から続々とニュータイヤを装着し、今年2回目のタイムアタック合戦が始まった。
ポールポジションとなったのは、2分9秒211のコースレコードを叩き出した伊藤だ。伊藤は「ブリヂストンの予選用タイヤのおかげです。この2日でだいぶバイクがまとまってきましたが、あと2〜3の問題を解決できればいいレースができると思います。決勝は2分10秒台のレースになるでしょう」と決勝レースへ向けての抱負を示した。
2番手の中冨と3番手の渡辺までが2分9秒台に入れてきたが、ともに「伊藤さんが逃げると思う」と警戒を怠らない。フロントローの最後は開幕戦MINEで3位表彰台に立った辻村猛、2列目グリッドにも昨年ランキング2位の山口辰也、鈴鹿で生まれ育った22歳と伸び盛りの森脇尚護、カワサキのエース柳川明、予選で1発タイムは出なかったがコンスタントにタイムを刻んだ松戸と実力者が揃う。
決勝レースの展開は、予選で2位以下を0.670秒も離している絶好調の伊藤が逃げる可能性が高い。伊藤が逃げるのか、それともライバル勢が伊藤の連勝を止めるのか。バックストレートで280km/hを記録する高速バトルは、前半戦の大きな岐路となるだろう。
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