この九州大会はJSBが4戦目、他のクラスは3戦目となる。ここまで3戦、伊藤真一(ホンダドリームRT)が圧倒的な強さを見せ、開幕戦のMINE、そしてフォーミュラニッポンとの併催となった鈴鹿2&4を勝ち、3戦の筑波は2位に入賞した。元全日本チャンピオンで元グランプリライダーの伊藤は今年、全日本だけでなく、ブリヂストンの契約でMotoGPのドゥカティ、デスモセディチを担当している。その38歳、ベテラン伊藤がランキングトップを独走しているのだ。
その伊藤をポイントテーブル上で追っているのが、辻村猛(F.C.C.TSR)だ。伊藤と辻村は、全日本ではライバルだが、この後に続く鈴鹿300km耐久と鈴鹿8時間耐久ではチームメイトとなる。このTSRコンビに一矢報いたいと虎視眈々、狙っているのが、地元九州勢だ。第3戦筑波で今季初優勝を果たした中冨伸一(YSP&PRESTOレーシング)は熊本のホンダ系名門チーム、Team高武RSCに所属当時、全日本GP250のタイトルを獲得している。さらに、ここオートポリスをホームコースとするチームグリーンの柳川明も、自身は九州出身。また、Team高武RSCからは森脇尚護が参戦、さらに福岡出身の23歳、中須賀克行(SP忠男レーシングチーム)ら地元勢がこのレースに掛ける意気込みは相当なものだ。
この大会は、これまでの3戦とは予選方法が異なる。これまでは土曜日に予選が午前と午後の2回に分かれて行なわれたが、この九州大会では50分という長いセッションが1回だけという変則的な形になっている。チームは作戦を多少変更しなければならない。マシンのセットアップを大幅に変更することができないからだ。
予選開始早々の6周目、渡辺篤(ヨシムラスズキジョモスリクソン)が1分51秒756という、コースレコードからコンマ4秒という好タイムをマーク、リーダーボードのトップに立った。その直後、多重クラッシュのため赤旗が提示され走行は中断された。再スタート後、このコースのコースレコードホルダー、山口辰也(ホンダドリームカストロールRT)が渡辺に次ぐタイムを出し2番手に。この二人だけが51秒台。中断をはさんで1時間に及ぶ長い予選のほとんどは、タイムアタックではなく、決勝へ向けての調整に向けられる。
動きがあったのは予選終了10分ほど前、タイムアタックのためにピットアウトした伊藤と亀谷長純(チーム桜井ホンダ)が接触、転倒するというアクシデントが発生してからだ。その後、渡辺が去年の山口のタイムを更新、1分51秒268というコースレコードを叩き出した。残り5分、中冨がアタック、1分51秒598をマークし2番手に浮上、山口もわずかにタイムを詰めるが及ばず3番手に、柳川は山口から100分の5秒差で4位、グリッド1列目を確保した。伊藤は9番手、3列目からのスタートだ。渡辺のポールポジションは昨年の筑波以来。久しぶりの勝ちを意識している。
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