早くも終盤戦を迎える全日本選手権ロードレース。全8戦で行なわれるJSBクラスだが、この鈴鹿を含め、残り3戦となった。ここまで5戦、優勝3回、2位1回、4位1回とまさに独壇場の活躍を見せている伊藤真一(ホンダドリームRT)がポイントランキング上でも2位以下を引き離し、チャンピオンへ一番近いところにいる。
今シーズン、予選1回というスケジュールが多かったJSB1000クラスだが、今大会は予選2回のスケジュールになった。これは、JSBクラスのエントリーが多く、2組に分けなければならなかったためだ。A組予選1回目、30分の予選で2分9秒473のトップタイムをマークしたのは伊藤。しかし、自らが春の鈴鹿2&4でマークしたコースレコード、2分9秒211にはわずかに及ばない。伊藤は2周目にこのタイムをマークしており、本格的なタイムアタックは午後からの2回目に持ち越しとなった。辻村猛(F.C.C.TSR)、山口辰也(ホンダドリームカストロールRT)が2分9秒台。
続くB組では、開幕戦の転倒リタイアが響いてポイントランキングでは4位に沈んでいる中冨伸一(YSP&PRESTOレーシング)がコースレコードを破る2分9秒116を出すが、これも2周目に出したタイムなので、勝負は2回目の予選になりそうだった。渡辺篤(ヨシムラスズキジョモスリクソン)も3周目に2分9秒台を出し、B組2番手。その後は決勝へ向けたセットアップに専念していた。
予選2回目、ほとんどのライダーが20分ほどをセットアップに使い、残り10分を切ったあたりから、グリッドを決めるタイムアタックに入っていく。まず辻村が動いた。午前中の自身のタイムを更新、さらに翌周、2分9秒058を出し、伊藤、中冨のタイムを更新した。しかし、ここで真打ちが登場した。秋吉耕佑(こうすけ)だ。8年前に全日本に出場して以来、スズキのテストライダーとしてGPマシンやスーパーバイクの開発に専念していたライダーだ。30歳の秋吉は、全日本では馴染みがないが、グランプリでは陰の存在として知られている。
ヨシムラからのスポット参戦を果たした秋吉は、辻村のタイムをコンマ5秒も縮める2分8秒479というスーパーラップを叩き出し、リーダーボードの頂点に躍り出た。ここで予選時間は残り3分を切った。満を持して伊藤がニュータイヤでアタックを開始した。しかし、伊藤のタイムはコンマ1秒、秋吉に及ばず、A組で2番手となった。そしてB組、やはり予選終了5分前からタイムアタックが始まった。最初にタイムを更新したのは中冨で、やはり2分8秒台には入れるものの、秋吉、伊藤には及ばない。続いて渡辺も8秒台へ入れるが、わずかに中冨のタイムをクリアすることができない。残り2分、中冨が再度チャレンジするがやはり伊藤に及ばず、総合3番手となった。
秋吉の登場でますますおもしろくなってきたJSB。10人近い国内トップライダーによる激しいバトルが予想される。
|