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SUPERBIKE RACE in TSUKUBA


ST600

文部科学大臣杯 2010年 MFJ 全日本ロードレース選手権シリーズ第1戦 SUPERBIKE RACE in TSUKUBA
主催:筑波サーキット(2.070Km)
決勝レポート
DATE:2010-4/4
■開催日/予選:4月3日(土)、決勝:4月4日(日)  ■天候/予選:晴のち曇 決勝:晴 ■路面/ドライ
■開催場所/茨城県・筑波サーキット(2.070Km) ■観客数/予選:2,700人・決勝:16,100人

世界帰りの中上貴晶が激戦を制し、感涙のST600初優勝!

 コースレコードラッシュとなった公式予選でポールポジションを獲得したのは大ベテランの新垣敏之。筑波では2年連続での獲得となった。この開幕戦では、ポールポジションの新垣を始め、ピレリユーザーがトップ10のうち8台を占めた。グリッド全体でもピレリが17台、ブリヂストンが8台、ダンロップが5台と半数以上となっている。これまでHonda+ブリヂストンの組み合わせが大半を占め、チャンピオンを獲得してきたST600だが、その勢力図に大きな変化が起こっている。

 決勝も、ピレリユーザーが、まず上位を独占した。シグナルがブラックアウトし、1コーナーをトップでクリアしたのは新垣。そのままリードを広げるべく積極的にレースをリードし、オープニングラップを制す。以下、岩﨑哲朗、岩﨑朗、山口辰也、豊田浩史、中上貴晶、大崎誠之、小林龍太、國川浩道、大木崇行、中冨伸一の順で1周目のコントロールラインを通過していく。オープニングラップでは佐藤裕児が前を走るライダーと接触しそうになりMCコーナーで転倒。再スタートするものの大きく遅れてしまう。

 トップを走る新垣は、さらにペースを上げ、これについていけたのは岩﨑兄弟、山口、豊田、中上の5台、トップグループは、この6台が形成していく。新垣は4周目にベストラップをマークすると、それに引っ張られるように豊田が58秒176という驚異的なコースレコードをたたき出す。5周目の1コーナーでは2番手につけていた岩﨑哲朗が新垣をパス。全日本で初めてトップを走るが、それも長くは続かなかった。9周目には再び新垣がトップに立ちレースを引っ張る。

 その後方では、虎視眈々と各ライダーの走りを分析し、タイヤを温存していたライダーがいた。中上だった。中上は8周目に岩﨑朗が第1ヘアピンで転倒し5番手に上がると13周目には、山口が岩﨑哲朗と接触しそうになり失速したすきを突き3番手に、さらに15周目に岩﨑哲朗を第1ヘアピンでかわし新垣の背後につける。冷静にライバルの走りを観察していた中上は、続く16周目の第1ヘアピンでアウトから新垣をかわしトップに浮上する。中上はスパートをかけ、これを新垣、ペースの上がらない岩﨑哲朗をかわした豊田が追う。健闘していた岩﨑哲朗だったが、ズルズルと後退し、セカンドグループに飲み込まれてしまう。セカンドグループは國川を先頭に大崎、小林、阿久津昇輝、大木が形成していた。

 残り5周になるころには、中上はジリジリと新垣を引き離すことに成功。そのままトップでチェッカーフラッグを受け、4年振りの全日本、初めてのST600クラスのレースで優勝を飾った。世界帰りの中上は、ウイニングランを終えスタッフの待つホームストレートに戻ってくると歓喜の涙を流した。ピレリ包囲網を突破したブリヂストンユーザーの中上が開幕戦を制した。2位にピレリ旋風を巻き起こした新垣が入り、コースレコードをマークした豊田が3位となり全日本初表彰台を獲得した。ST600にスイッチした山口が4位。激しいバトルとなったセカンドグループからレース終盤に抜け出した國川が5位。ラスト2周で岩﨑哲朗をかわした大崎が6位。以下、大木、阿久津、中冨、手島雄介と続くトップ10だった。最終ラップの第1ヘアピンでは岩﨑哲朗と小林が接触し転倒。再スタートしたものの岩﨑哲朗は23位、小林は26位とノーポイントに終わっている。

[佐藤 寿宏]
●ライダーのコメント

優勝/優勝/#73 中上貴晶 MuSASHi RTハルクプロ
『正直なところ予選は全力で攻めて5番手だったので不安はありましたが、予選と決勝は違うので勝つ自信はありました。レース序盤はペースを上げられない状態でしたが、何とかトップグループについていけたし、その中でタイヤを温存する走りで、前のライダーの走りを見ることができました。レース中盤辺りからは自分のペースの方がよかったと思う。トップに立った第1ヘアピンでは新垣さんが、極端にイン側のラインを通っていたのでアウトからいきました。2007年夏のスペイン選手権以来の表彰台でしたし、世界では満足いく結果を出せませんでしたから、心の底からうれしかったし感謝の気持ちとホッとした気持ちもあって涙も出ました。チームや家族、支えてくれた、すべての方に感謝したいです。ありがとうございました。また世界に戻れるように、世界に設定を置いて戦っていきたいですね』

2位/#20 新垣敏之 TeamARA 虎の穴
『ルーキーとベテランが混戦になると思ったので、レース序盤にできるだけ逃げておきたかったんですけれどね。つかまっちゃいましたね。少し余裕もあったけれどラップタイマーが壊れてしまっていて自分のペースが分からなかったことも敗因でしたね。レース終盤に仕掛けたかったのですが、ピレリ勢が速いところとブリヂストン勢が速いところが違うので、うまく勝負できませんでした。中上くんもヨーロッパ帰りのいい走りをしていました。まだまだ伸びると思いますよ。次はSUGO辺りで、また勝負してみたいね』

3位//#52 豊田浩史 D;REX
『全日本のトップライダーと一緒にレースをしたことがなかったので序盤は気後れした部分が正直ありましたし、もう少し前にいられればと悔しいところです。ミスもありましたし、さすがにゆだんも隙もない感じでしたね。いつコースレコードを出したか分からなかったので実感はなかった。全日本の表彰台はいいものですね。またのぼりたくなります。また機会があったら上がりたいですね』


ST600決勝   決勝レース序盤
     
ST600決勝   3位表彰台を獲得した豊田
     
ST600決勝   中上が全日本復帰レースで早速勝利
   
ST600決勝   優勝/中上貴晶(中)、2位/新垣敏之(左)、3位/豊田浩史
     
Photo:H.Wakita(c)
 
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