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鈴鹿2&4


JSBクラス 

文部科学大臣杯  2011年 MFJ全日本ロードレース選手権シリーズ第1戦 鈴鹿2&4レース
主催:鈴鹿サーキット(5.821km)
決勝レポート
DATE:2011-5/15
■開催日/予選:5月14日(土)、決勝:5月14日(日) 
■予選:天候・路面/曇・ドライ 気温22° 観客数:14,000人
決勝:天候・路面/薄曇り・ドライ 気温25.4° 観客数:20,500人

ディフェンディングチャンプ秋吉耕佑が開幕戦を制す!

 待ちに待った2011年シーズンが開幕した。未曾有の大震災の影響は、モータースポーツ界にも大きな影響を及ぼした。5月半ばの開幕戦というのも前代未聞の事態。被災地を少しでも励ませるよう、ライダーたちも選手会、そして個人個人で支援活動を行っている。

 木曜日からスタートしたレースウイーク。ここで今季初めてJSBマシンに乗った秋吉耕佑は、得意としている鈴鹿で速さを披露。決勝日朝のウォームアップまで全セッションでトップタイムをマークし、ゼッケン1の実力を見せつけた。しかし、決勝朝のウォームアップは、いきなり波乱の幕開けとなった。セーフティーカー練習が解除となったタイミングでピットアウトした秋吉と、今回、ウッドストックレーシングチームよりエントリーしている大崎誠之が、ピットロード出口で接触し転倒するアクシデントが発生。ちょうどオイルを噴いたマシンがあり、赤旗が提示され、ピットロード出口のシグナルが変わり、混乱したようだ。

 決勝レースは正午にスタート。気温は23度、路面温度は46度まで上がり、このコンディションがライダーたちを苦しめる結果となった。
 好スタートを見せたのは、2番手グリッドからスタートした加賀山就臣。ホールショットを奪うが、S字コーナー進入でポールポジションスタートの秋吉が、トップを奪うと、そのままレースを引っ張っていく。これを加賀山、伊藤真一、高橋巧、中須賀克行、芹沢太麻樹、大崎誠之と続いていく。スタートダッシュを狙っていた中須賀だったが、前に出ることはできなかったものの、高橋をかわすと、ヘアピンで伊藤をパスして、オープニングラップを3番手で戻ってくる。トップを走る秋吉は、2周目に早くも2分07秒551をマークし、2番手に約2秒のリードを築くと、2分07秒台でラップを重ね独走体制に入っていく。2番手争いは、加賀山を先頭に伊藤、中須賀、高橋の4台の集団となっていたが、加賀山の背後に伊藤が迫ると4周目のバックストレートから130Rで伊藤が前に出ていく。ペースを上げられない加賀山を5周目の1コーナーで中須賀もパス。さらに高橋も6周目の1コーナーで加賀山にしかけ前に出るが、加賀山も意地を見せヘアピンで抜き返す。

 トップを走る秋吉は、余裕の展開となるかと思われたが、ペースが徐々に下がり、2番手とのギャップが縮まっていく。レースも折り返しを過ぎると、そのギャップは1秒を切り、伊藤、そして中須賀が背後に迫る。前に出たい中須賀は、9周目の200Rで伊藤をかわして2番手に上がると、秋吉のテールをうかがう。しかし、バックマーカーも多く、なかなか勝負できない。12周目には、ストレートスピードに勝る伊藤にバックストレートでパスされるが、シケインのブレーキングで強引に前に出る。ここで突っ込み過ぎてしまった中須賀は、秋吉に差をつけられてしまい万事休す。ここが、このレースの勝敗を分けたポイントとなった。秋吉は、レース中盤から走りを切り換え、タイヤを温存。決して余裕はなかったが、堂々の開幕戦優勝を果たした。2番手に中須賀、3番手に伊藤と続いた。4位争いは、高橋と加賀山が繰り広げたが、最終ラップの1コーナーで前に出た高橋が4位、加賀山は5位でゴールした。芹沢太麻樹が単独走行で6位。5台による激しいバトルとなった7位争いは、出口修が制し、柳川明、武田雄一、大崎誠之、徳留和樹と続いた。ドゥカティを初ライドした山口辰也は、12位でゴールした。以下、東村伊佐三、今野由寛、谷誠士郎、久保山正朗、西中綱、吉田光弘、高田速人、藤田拓哉と続き、ポイントを獲得した。

[佐藤 寿宏]
●ライダーのコメント

優勝/#1 秋吉 耕佑 F.C.C.TSR Honda
『思った以上に、路面温度が上がってしまい、走っているとタイヤのグリップが落ちてきたので、後ろとのビハインドを見ながら、ペースを維持していた。それでも厳しい状態となってきたので、8周目ぐらいからタイヤを温存するために加速重視のライディングに切り換えた。中須賀選手の方が、いいペースだと思ったのでラスト3周でスパートをかけた。レース後に、中須賀選手がシケインでミスをしてくれたのが勝因になったと思う。ウォームアップのアクシデントでもスタッフのお陰でマシンは問題なく、セットアップもそこそこだったので、さらに細かい部分はこれから確認していきます』

2位/#21 中須賀 克行 YSPRacingTeamwithTRC
『個人的には、スタートダッシュを決めて、オープニングラップをトップで戻ってきたかった(笑)けれど、うまくいかなかったので、タイヤのマネージメントをしっかりして、いきたくてもいかないように我慢していた。伊藤さんのペースがよかったので、スリップ使いながら、とにかくタイヤを温存しました。ここぞというときに前に出て、秋吉さんに追い付いていった。ラスト3周でいこうと思っていたのですが、バックストレートで伊藤さんにかわされて、抜き返そうとしたシケインで突っ込み過ぎてしまい、そこで(秋吉と)離れてしまった。ウイークに入って、事前テストのときよりも、調子が悪かったので、ここ(2位)まで戻ってこられてよかった。チームスタッフもよくやってくれたし、ダンロップタイヤに頑張ってくれたので、少し光が見えてきました』

3位/#5 伊藤 真一 F.C.C.TSR Honda
『秋吉くんからスペアバイクをかしてもらい、急遽レースに出ることになりました。地元(被災地)では、家もクルマも会社もなく、まだレースのことを考えられない状況です。今回の目的は、勝利を求めるものではなく自分なりにベストを尽くして、それが東北の人たちの力になれば、そして自分自身も被災したこともあり、元気になりたいという気持ちもありました。実際に乗ってみると、タイムは出ても、なかなかうまくいきませんでした。その中で、精一杯走れましたし、トップ争いができたので、お客さんにも楽しんでいただけたと思います。被災し、多くの方に支援してもらっています。まだまだ復興の途中なので、これからも支援をお願いいたします』

JSBレース  

レースは#71加賀山就臣が絶妙のスタートからホールショットを奪う。

     
JSBレース  

秋吉耕佑はその後のS字で早くもトップに立つと後続との差を広げて行くかにみえた。

     
JSBレース  

レース中盤以降、トップ争いは、秋吉、#5伊藤真一、#21中須賀克行の3台に絞られる。

     
JSBレース  

最終的に秋吉が開幕戦を制した。

     
JSBレース  

表彰台での派手なパフォーマンスは控えられたが、記者会見場では、福島県二本松市で製造されているスパークリング日本酒が披露された。

     
JSBレース  

ピットウォーク後に復興支援を込めて参加ライダー全員でメッセージを送った。

     
JSBレース  

レースに先立ち、参加全ライダーと全ドライバーが整列し、会場全体で東日本大震災で被災者に向けて黙祷を捧げた。その後、伊藤真一が参加者を代表し、地元の人々を少しでもを元気付けられるようにレースに臨みたい、とコメントを発した。

     
Photo:H.Wakita/Y.Harada(c)
 
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