待ちに待った2011年シーズンが開幕した。未曾有の大震災の影響は、モータースポーツ界にも大きな影響を及ぼした。5月半ばの開幕戦というのも前代未聞の事態。被災地を少しでも励ませるよう、ライダーたちも選手会、そして個人個人で支援活動を行っている。
木曜日からスタートしたレースウイーク。ここで今季初めてJSBマシンに乗った秋吉耕佑は、得意としている鈴鹿で速さを披露。決勝日朝のウォームアップまで全セッションでトップタイムをマークし、ゼッケン1の実力を見せつけた。しかし、決勝朝のウォームアップは、いきなり波乱の幕開けとなった。セーフティーカー練習が解除となったタイミングでピットアウトした秋吉と、今回、ウッドストックレーシングチームよりエントリーしている大崎誠之が、ピットロード出口で接触し転倒するアクシデントが発生。ちょうどオイルを噴いたマシンがあり、赤旗が提示され、ピットロード出口のシグナルが変わり、混乱したようだ。
決勝レースは正午にスタート。気温は23度、路面温度は46度まで上がり、このコンディションがライダーたちを苦しめる結果となった。
好スタートを見せたのは、2番手グリッドからスタートした加賀山就臣。ホールショットを奪うが、S字コーナー進入でポールポジションスタートの秋吉が、トップを奪うと、そのままレースを引っ張っていく。これを加賀山、伊藤真一、高橋巧、中須賀克行、芹沢太麻樹、大崎誠之と続いていく。スタートダッシュを狙っていた中須賀だったが、前に出ることはできなかったものの、高橋をかわすと、ヘアピンで伊藤をパスして、オープニングラップを3番手で戻ってくる。トップを走る秋吉は、2周目に早くも2分07秒551をマークし、2番手に約2秒のリードを築くと、2分07秒台でラップを重ね独走体制に入っていく。2番手争いは、加賀山を先頭に伊藤、中須賀、高橋の4台の集団となっていたが、加賀山の背後に伊藤が迫ると4周目のバックストレートから130Rで伊藤が前に出ていく。ペースを上げられない加賀山を5周目の1コーナーで中須賀もパス。さらに高橋も6周目の1コーナーで加賀山にしかけ前に出るが、加賀山も意地を見せヘアピンで抜き返す。
トップを走る秋吉は、余裕の展開となるかと思われたが、ペースが徐々に下がり、2番手とのギャップが縮まっていく。レースも折り返しを過ぎると、そのギャップは1秒を切り、伊藤、そして中須賀が背後に迫る。前に出たい中須賀は、9周目の200Rで伊藤をかわして2番手に上がると、秋吉のテールをうかがう。しかし、バックマーカーも多く、なかなか勝負できない。12周目には、ストレートスピードに勝る伊藤にバックストレートでパスされるが、シケインのブレーキングで強引に前に出る。ここで突っ込み過ぎてしまった中須賀は、秋吉に差をつけられてしまい万事休す。ここが、このレースの勝敗を分けたポイントとなった。秋吉は、レース中盤から走りを切り換え、タイヤを温存。決して余裕はなかったが、堂々の開幕戦優勝を果たした。2番手に中須賀、3番手に伊藤と続いた。4位争いは、高橋と加賀山が繰り広げたが、最終ラップの1コーナーで前に出た高橋が4位、加賀山は5位でゴールした。芹沢太麻樹が単独走行で6位。5台による激しいバトルとなった7位争いは、出口修が制し、柳川明、武田雄一、大崎誠之、徳留和樹と続いた。ドゥカティを初ライドした山口辰也は、12位でゴールした。以下、東村伊佐三、今野由寛、谷誠士郎、久保山正朗、西中綱、吉田光弘、高田速人、藤田拓哉と続き、ポイントを獲得した。 |