開幕戦に続いてエントリーが充実し、全日本選手権の1クラスとして完全に定着したST600クラスは、予選の段階から新人とベテランが激突する白熱の戦いとなった。MINEで優勝争いを展開した山口辰也が、スーパーバイク世界選手権にスポット参戦したSUGOで負傷し、欠場を余儀なくされたのがやや淋しいが、コース上の戦いは、その穴は感じさせない激しいものとなった。朝まで降り続けた雨の影響が残っていた第1セッションでは、GPの500ccクラスを戦った経験もある小西良輝が最速タイムをマーク。ドライコンディションに恵まれ、大幅にペースの上がった午後の予選でも3番手と安定した力を発揮した。ここでトップに立ち、ポールポジションを手中に収めたのは、やはり90年代にGPライダーとして活躍した新垣敏之だ。筑波でST600のレースが開催されるのは今回が初めてということもあり、新垣の1分00秒356が、このクラスのコースレコードということになる。
MINEの開幕戦で昨年までホンダ・ファクトリーに所属していた山口辰也と死闘を演じ、幸運にも恵まれて勝ち星を挙げたチーム高武の新鋭、清成龍一も僅差で2番手となり、勢いに乗っている。清成と3番手の小西のマシンは、全日本のST600クラスで昨年もタイトルを獲得し、優位に立っているホンダCBR600F4iだ。4番手には、今シーズンから全日本のST600を戦っている今野由寛。ポールシッターの新垣と今野はスズキGSX-R600を駆り、ヤマハR6の最上位は、5番手につけた昨年このクラスでランキング2位となった名門SP忠男レーシングの高橋英倫だ。経験豊富な新垣と小西、そして若い清成と今野が、決勝レースでどのような戦いを見せてくれるか、大いに注目される。
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