全日本選手権は残り2戦、この鈴鹿大会と最終戦のTIを残すだけとなった。開幕から半年、タイトル争いは井筒仁康(チーム桜井ホンダ)と山口辰也(ホンダドリームカストロールRT)の二人に絞られている。開幕から2連勝を挙げ、一昨年に続いて二度目のチャンピオンの可能性が濃厚だった山口だが、第3戦の筑波ではウエットからドライという路面状況の変化に翻弄され8位に甘んじた。一方の井筒は、優勝は第4戦のもてぎだけだが、2位入賞が3回あり、確実にポイントを稼いでいる。井筒が80点でランキングトップ、山口は4点差で2位につけている。ランキング3位の柳川明(TEAM
GREEN)は56点で、山口と20点差あり、何かアクシデントが起きない限り、この鈴鹿大会と最終戦のTIの2戦、井筒と山口の二人でタイトルを争う図式になることは間違いない。
金曜日の公式練習日(合同走行日)は、鉄道が止まるほどの豪雨に見舞われた。しかし、土曜日の予選日の天気は晴れ、路面は走行ごとに乾きはじめ、この日3番目の走行となったJSB予選1回目が始まるころには全周にわたってほぼドライ。200Rだけが濡れているという状態だった。各車、順調にタイムを刻む。トップタイムをマークしたのは、前戦SUGOで今季初優勝を飾り波に乗る伊藤真一(DDBOYS
Racing)。ちなみに、このクラスは鈴鹿でのレースは3月に行なわれた2&4以来、今季2回目となるが、伊藤にとっては2&4にはエントリーしていなかったために初めての全日本鈴鹿となる。タイムは2分11秒229で、一部濡れている路面のせいで、タイムは今ひとつ詰まらない。井筒は4番手のタイム。グリッドは午後の予選2回目で決まる。
予選2回目。予選タイムは35分、ほとんどのライダーは、予選時間のほとんどを決勝のためのセットアップに使う。タイムアタックは予選の終盤からだ。まず伊藤が2分11秒023と詰めてきた。しかし残り14分、渡辺篤が2分10秒513と、2分11秒を切ってきた。残り10分を切り、各車新しいタイヤに履き替えて出ていく。中冨伸一(YSP
& PRESTOレーシング)、山口、小西良輝(Team HARC-PRO.)と、続々と2分10秒台に突入、し烈なアタック合戦が始まった。そして最後の最後に、唯一2分10秒の壁を破り2分09秒891をマークした伊藤真一が、文句なしのポールポジションを獲得した。鈴鹿8耐、前戦のSUGOに続くポールポジション、コースレコードのおまけつきだ。
井筒と山口、ポイント差は4。決勝でこのポイント差が20ポイント以上に広がれば、最終戦を待たずに井筒のチャンピオンが決まる。しかし、今日の決勝レースがこの二人だけの争いになる訳ではない。残り2戦、最後の最後まであきらめないライダーたちが、二人の間に割って入る。タイム差2秒の間に10台以上がひしめく、決勝日の激しい戦いを予感させるに十分で過激な予選結果だ。
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