開幕戦はディフェンディングチャンピオンの仲城英幸が、ヤマハ勢のエース、井手敏男を一騎打ちの末、下す形で制し、今シーズンも顔なじみのベテラン勢が主役となることは間違いない。しかし、ここ筑波ラウンドでは少し事情が違う。というのも、
今年も1994、98年の世界GP,125ccチャンピオン、坂田和人がスポット参戦してきたからだ。筑波育ちの坂田は、昨年の全日本筑波ラウンドGP125に参戦して、ノーマル車ながら他車の転倒に巻き込まれるまでトップ争いを繰り広げた。
その坂田は金曜日の練習走行から唯一の59秒台となるトップタイムをマークして、未だその実力が一線級にあることを証明した。そのため土曜の予選では、坂田が走り出すと背後には10台ものマシンが付け、早くも厳しいマークにさらされる。しかし坂田は巧みにライバルのマークを外すと、59秒697のコースレコードをマークしてポールポジションを獲得した。金土を通して59秒台に入れてきたのは、坂田ただ一人だ。「久しぶりのレースだし、決勝は苦しくなる」と語る坂田だが、金曜からの流れを見る限り、坂田が決勝の主導権を握るのは確実だ。
予選2番手は、得意の筑波で初優勝を狙う小室旭だ。小室は筑波で全日本初表彰台に立ち、昨年も筑波では菊池、坂田とともにトップを争っている。出走わずか2台となってしまったヤマハ勢を背負う井手が3番手につけ、ベテラン山本武宏までがフロントローを確保した。
筑波はコースレイアウト上、独走するのが難しいサーキットだが、それ故に決勝では、やはりGP時代から巧みなレース戦略を身上とする坂田が優位に立つだろう。しかしスポット参戦の坂田に易々と勝ち星を奪われまいと、フル参戦組も全力を尽くしてくるはず。また、このレースで全日本にデビューする13歳の中上貴晶、15歳の渡辺一馬の若手コンビにも注目だ。
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