今シーズン、関東で初めての全日本が開催される。ここまで、全クラス開催の第1戦MINE、第2戦はフォーミュラニッポンと併催の2&4でJSBだけの開催で、このクラスだけが3戦目となる。ここまで2戦、元GPライダーで全日本チャンピオンの伊藤真一(ホンダドリームRT)が、圧倒的な強さでレースを支配していた。昨シーズンから数えると5連勝を達成している。昨年のチャンピオン、井筒仁康が引退し、一昨年のチャンピオン、北川圭一が世界耐久選手権出場のために全日本から離れたこともあって、38歳のベテラン、伊藤の独壇場となるという見方もされている。
伊藤はブリヂストンの契約でMotoGPのテストライダーを務めているが、今年はドゥカティのデスモセディチを担当している。ブリヂストンはグランプリのスケジュールよりも先行して、グランプリが開催されるサーキットでテストを行なっている。また国内では、全日本はホンダドリームRTから出場しているが、鈴鹿8耐に限っては今年もF.C.C.
TSRから出場することが決まっている。さらに、4輪レースにもたびたび出場するなど、サーキットからサーキットへと大忙しの日々を過ごしている。今回も、ヨーロッパから帰国し、時差ボケが治らないままの参戦となった。
その伊藤が、ここ筑波でも勢いよく、予選1回目から56秒666のコースレコードをたたき出す。この二人を押さえたのは辻村猛(F.C.C.TSR)だった。最後の最後に56秒661というタイムをたたき出してトップに躍り出た。辻村と伊藤は、8耐ではチームメイトだが、全日本ではライバルだ。続く予選B組では、山口辰也(ホンダドリームカストロールRT)が開始早々にA組2位の伊藤と同タイム、56秒666をマークした。山口も事前から好調で、得意の筑波サーキットでは、何とか伊藤に一矢報いたいとねらっている。山口に続き渡辺篤(ヨシムラスズキジョモスリクソン)もコースレコードを更新した。気象状況、路面状況など、タイムを縮めるには絶好のコンディションなのだ。
午後の予選2回目、A組では、予選スタート直後に、午前に辻村がマークしたタイムを中冨伸一(YSP&PRESTOレーシング)がクリアした。タイムは56秒463。20分の短い予選時間が過ぎていく中、最後の5分に、まず辻村が56秒331を出しトップに躍り出る。しかしその直後、伊藤は狙いすましたかのように56秒289という驚異的なタイムを出して、クラストップに立った。これを見た辻村、中冨がともにタイムアタックを再開したが及ばなかった。予選B組では、柳川明(TEAM
GREEN)が56秒639で山口、渡辺を抜きクラストップに立ったが、伊藤、辻村、中冨にはかなわなかった。
結局6人がコースレコードタイムをマークする激しい予選となった。「56秒台中盤での走行が可能」と、伊藤が一人余裕を感じさせているが、明日の決勝では、そう簡単に伊藤が逃げることはできないだろう。
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