すっかり秋の色に染まった岡山国際サーキットで、全日本選手権第6戦が始まった。ここまで5戦、優勝2回、2位2回の伊藤真一(KEIHIN
Kohara RT)と、優勝は1回ながら、安定して上位入賞を果たしている渡辺篤(ヨシムラスズキwithJOMO)の二人が、わずか3ポイント差のタイトル争いを展開している。ランキング3位には渡辺のチームメイト、秋吉耕佑(ヨシムラスズキwithJOMO)が着けているが、伊藤との差は26ポイントあり、残り2戦ではその差は大きい。タイトル争いは伊藤と渡辺の二人によるガチンコ勝負と言っていいだろう。
秋晴れの下、JSBクラスの予選は1時間の1本勝負という長丁場でのタイムアタックとなった。1時間の走行時間は、グリッドを決めるタイムアタックだけでなく、決勝のためのテストに使うこともできる。前日に行なわれたフリー走行では、今年からチームを移籍し、事実上ヤマハのトップライダーとなった中須賀克行(YSP&PRESTOレーシング)が好調で、非公開ながら全体のトップタイムをマークしていた。その中須賀が予選開始早々の5周目、1分29秒996というコースレコードタイムで、リーダーボードのトップに立った。直後にパイパーコーナーの転倒で赤旗が出され、予選は一時中断される。この時点で中須賀に続いて1分30秒台をマークしたのは渡辺、山口辰也(ホンダドリームカストロールRT)、伊藤、秋吉の4人。10分ほどで赤旗が解除され予選再開されたが、中須賀はコース上には出ず、走行準備をしたまま、ピット前で待機している。1時間の予選時間は長く、こういった駆け引きも行なわれるのだ。
予選時間が半分ほど過ぎたころ、31秒台での走行を続けていた秋吉がタイムアタックに入った。14周目、1分29秒778を叩き出した秋吉がトップに躍り出る。これを見た中須賀はコースイン、タイムアタックを始めるが、29秒841で秋吉のタイムをわずかに上回ることができない。これをきっかけに、各車、タイムアタックに入り、渡辺が29秒631をマーク。秋吉のコースレコードタイムを塗り替え、ポールポジションに王手をかけた。その後伊藤も自己ベストの29秒台に入れるものの、わずかに及ばず4番手。いつもならばここからチェッカーまでの2、3周がタイムアタックのピークになるはずだが、決勝出走台数を越える42台の予選となった今回、ほぼ全車がこの時間にコースインしたためにコースが混み、上位陣はこれ以上タイムを詰めることができなかった。そのまま渡辺がポールポジション、秋吉が2番手に着け、ヨシムラがワンツー、金曜から好調の中須賀が3番手、フロントロウの最後はディフェンディングチャンピオンの伊藤が入った。この4人が従来のコースレコードを破っている。
伊藤vs渡辺のタイトル争いだけでなく、数台のトップ争いによるエキサイティングなレースが予想される。
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