ついに最終戦MFJグランプリを迎えた全日本ロードレース選手権。舞台は今年も世界屈指のテクニカルコースとして知られている三重県・鈴鹿サーキット。JSB1000クラスは3年連続チャンピオンを狙う中須賀克行が、第6戦ツインリンクもてぎを終えた時点でポイントリーダーの座に着いた。これを6ポイント差で高橋巧、7.5ポイント差で柳川明、13ポイント差で秋吉耕佑、16ポイント差で亀谷長純と続いている。最終戦は2レース制、MFJグランプリのボーナスポイントが3ポイントつくだけに、1レースでノーポイントがあれば、一気にひっくり返る。第4戦SUGOから3連勝中の伊藤真一も、トップから27.5ポイント差あるが、チャンピオンの可能性が残っている。今回のレースで全日本JSB1000クラスからの卒業を表明しているが、ここ3戦の速さは、まさに全盛期そのもの。通算勝利数は現在31。今回もダブルウインを達成し、自身のゼッケンと同じ“33勝”をマークして卒業するのが理想だろう。
強い台風14号の接近で予選開催が危ぶまれたが、予想より台風の進路がそれたことから、風はほとんどなく、雨も弱かったことから土曜日はタイムスケジュール通りに進行。セッションが始まると雨は止み、GP-MONO、ST600、J-GP3、J-GP2と各クラスの予選が進むにつれ、路面は見る見るうちに乾いていった。JSB1000クラスの予選を迎えると、ウエットパッチが所々に残るものの、各車は、スリックタイヤを履いてコースに出て行く。今回は、ノックアウト方式最初のセッションとなるQ1で、レース1のグリッドが決まる。路面は乾いていく一方だけに、伊藤は、ゆっくりとコースイン。このセッションでトップタイムをマークしたのは秋吉。Q2でも秋吉がトップにつけると、ウエットパッチの残るQ3で2分06秒743という驚異的なタイムをマークし、レース1、レース2共にポールポジションを獲得した。
「S字コーナーもかなり濡れている部分があって、危ない思いをしていたけれど、コースレコード更新を目指して走りました。レースは、伊藤さんとマッチレースになればおもしろいですね。タイトルは、獲れるものなら獲りたいですけれど自力で獲れる状況ではないので、とにかく2レースとも勝つことだけを考えています」と秋吉。
V3を狙う中須賀は、Q1で2番手につけたが、Q3では、気合いが空回りしてしまい、コースイン直後にヘアピンで転倒。再スタートし、Tカーで出ていくが5番手止まりだった。
「トップは6秒台に入ってくると思っていたので多少のリスクを覚悟して攻めていきましたが、濡れている部分にフロントを取られて転倒してしまいました。まぁ2列目までに並んでいればスタートを決めれば大丈夫。レースはドライになりそうなので、しっかりマシンの状態を把握して勝ちたいですね」と中須賀。
そして伊藤は、Q1で3番手。Q3では予選タイヤを使い、秋吉に肉薄する2分06秒841をマークして2番手につけ、しっかり両レースともフロントロウからスタートする。
「マシンは、まだ完璧とはいえない。今回も決勝朝のウォームアップも使ってセットを詰めていくよ。レースは秋吉くんはもちろん、中須賀くんも来るので、逃げることはできないと思う。ただ、まだまだ余裕があるので、そこを出し切ればいいレースができると思う」と、まだまだ伸びしろがあるようだ。前戦のツインリンクもてぎラウンドのように、スタートしてマシンの状態がよければ積極的に前に出ていく走りを見せてくれるかもしれない。
レース1は11時10分、レース2は15時20分にスタート予定。それぞれ15周で争われる。秋吉、中須賀、そして伊藤を中心に、亀谷、柳川、高橋巧などが、どこまでトップ争いに絡めるかによってレース展開が変わってくるだろう。事前テストでは2分06秒台後半というハイペースで走っていた秋吉が逃げるか? 全日本JSB1000卒業レースとなる伊藤が連勝記録を伸ばすか? そしてタイトルの行方は? 見どころ盛りだくさんの最終戦MFJグランプリを見逃すな! |