オートポリスで全日本格式では、初めてとなる2&4レースがついに開幕した。全日本ロードレース選手権は、ST600クラスのみが開催され、4輪の最高峰フォーミュラ・ニッポンとの競演が阿蘇の雄大な自然をバックに行われる。
ST600クラスは、全日本ロードレース一の激戦区と言われており、世界を経験したライダー、全日本チャンピオンを獲得したライダーも数多く参戦しており、世界的にもハイレベルなレースが繰り広げられている。本来ならば、4月上旬に開幕していた全日本ロードレースだが、東日本大震災の影響で中止となったため、今回がST600クラスの開幕戦となっている。
注目は、1998年から世界を舞台に活躍、今シーズンはアジア選手権にフル参戦している藤原克昭が14年ぶりに全日本ロードレースにスポット参戦してきたことだ。藤原は、5月1日に行われたアジア選手権開幕戦でダブルウインを達成、その実力を見せつけただけに、今回もトップ争いに絡んでくることが予想された。
緒戦ということで木曜日から練習走行が設けられ、初日からディフェンディングチャンピオンの山口辰也が、コースレコードをコンマ5秒も更新する1分54秒8をマークする先制パンチを決めると、金曜日には、アジアチャンピオンのデチャ・クライサルトが1分54秒9をマークし逆襲。レースウイークは、この2人を中心にセッションが進んでいった。
全日本ST600史上、初めてノックアウト方式で行われた公式予選。これまでJSB1000クラスを戦ったことのあるライダー、チームは、ノックアウト方式は慣れたもの。それぞれ、一つでも上のグリッドを手に入れるため、Q1から各ライダーの駆け引きが始まる。オートポリスを得意とし、JSB1000クラスのコースレコードを保持している山口は、Q1ではただ一人、1分54秒台をマークし、レース1のポールポジションを獲得する。デチャは、2番手につけ、地元の岡村光矩が3番手と健闘し、ここまでがコースレコードを更新。トップ3は、またもピレリタイヤユーザーが独占した。
ダンロップ、ブリヂストンとニュータイヤを投入したが、今回もピレリの優位は崩れていないようだ。24台が進出するQ2、12台が進出するQ3と進むと、デチャが1分54秒628という驚速タイムをマーク。一方、山口は、最後のセッションにコースインしようとした際、エンジンがかからないトラブルに見舞われる。何とか、エンジンは火を吹き返し、コースインしたが不完全燃焼のQ3となってしまう。それでも2番手につけ、レース2は、デチャがポールポジション、山口がセカンドグリッドから臨むことになった。3番手には、やはり岡本が続き、レース1に続き、レース2も同じ顔ぶれがフロントロウに並んだ。開幕戦鈴鹿では、やはりフォーミュラ・ニッポンとの2&4レースでJSB1000クラスが行われ、4輪タイヤのラバー(タイヤカス)が路面に乗ってくると、グリップが落ちる現象が起きていた。今回は、土曜日からフォーミュラ・ニッポンが走り始め、その影響が注目されたが、溝付きのプロダクションタイヤを使うST600クラスは、それほどの影響はなかったようだ。
土曜日に行われたレース1では、スタート直後に山口とデチャ、そして岡村が接触。デチャが転倒するアクシデントが発生する。デチャは、この転倒で右手小指の付け根を骨折。残念ながら、レース2に出場することができなくなってしまう。レース1は、山口が独走で制しただけにレース2も、山口のワンサイドレースとなる可能性が高い。2位争いは、レース1同様、藤原、中冨伸一を中心に激しいバトルになる可能性が高い。あとは日曜日の天気が気になるところ。注目のレース2は、どんな結末が待っているのだろうか!? |