8戦で行なわれている全日本選手権も、このもてぎが最終戦となる。前戦の岡山国際で、伊藤真一(ホンダドリームRT)がタイトルを決めた。自身3回目の全日本タイトルだ。90年にGP500、グランプリから帰ってきた98年にスーパーバイクで、そして今年、JSBのチャンピオンとなったのだ。何と息の長いライダーなのだろうか。38歳の超、ベテランライダーは、ブリヂストンの契約ライダーとして、MotoGPのドゥカティ・デスモセディチを担当している。前回のトルコGPにはケガで欠場したロリス・カピロッシの代役で出場、残念ながらジャンプスタートの判定で失格になってしまったが、多くのファンが伊藤の走りに期待した。
伊藤は今シーズン、7戦中4勝をあげ、圧倒的な強さを見せている。しかし、シリーズ後半、思わぬ伏兵が現れた。秋吉耕佑(ヨシムラスズキジョモスリクソン)だ。8年間スズキのテストライダーとして実戦参加のなかった秋吉が、第6戦の鈴鹿から参戦、2戦連続のポールポジションを獲得しているのだ。決勝レースでは8位と6位に留まっているが、その速さは侮れない。
朝から厚く覆っていた霧は、まだコース上に残っている。午前中の予選1回目は30分間。半分を終わったところでトップは山口辰也(ホンダドリームカストロールRT)の1分51秒853。すでにコースレコードが更新された。残り5分。渡辺篤(ヨシムラスズキジョモスリクソン)が1分51秒698をマークして山口のタイムを更新。残り3分に山口が1分51秒517とさらにタイムを縮めて再びリーダーボードのトップに。しかし、やはりチャンピオンが来た。ニュータイヤを履いて残り7分でコースに戻った伊藤。残り1分を切ったところで1分51分434をたたき出して一気にトップに。ところがチェッカー後、秋吉が1分51秒081をマークして逆転。暫定ポールポジションをもぎとった。秋吉がポールポジションを取れば3戦連続となる。この秋吉から伊藤、山口、中冨伸一(YSP&PRESTOレーシング)、渡辺までの5人がコースレコードを更新した。
午後の予選2回目が始まる直前にパラパラと雨粒が落ちウエット宣言が出される。予選2回目は40分間というスケジュール。全車、スリックタイヤでコースイン。その後は雨粒が落ちたりやんだりの繰り返しになり、各車最後までスリックタイヤでのアタックとなった。残り11分。伊藤が1分50秒679と一気にタイムを縮めて早々にリーダーボードのトップに立った。いつ降り出すか分からないからだ。1回目でトップに立った秋吉は、なかなか自身のタイムを更新できない。しかし伊藤以外はだれも秋吉の1回目のタイムを上回ることができない。残り3分を切ったところで、中冨が自身のタイムを更新して3番手に上がる。さらに山口もタイムを更新するが4番手。残り1分を切ったところで今度は渡辺がタイムを詰める。1分51秒363で4番手に上がった。そしてチェッカー。伊藤がポールポジション。秋吉、中冨、渡辺がフロントロウを獲得した。
チャンピオン伊藤が逃げるのか、あるいはだれかが伊藤の独走を止めるのか、すでにタイトルが決まった最終戦は、ポイント計算の関係ない、ガチンコ勝負が見られるはずだ。
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